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プロジェクトの概要


プロジェクトの概要

このサイトについて ―「新しいコミュニティの構想」プロジェクト―

 このサイトは、「新しいコミュニティの構想 ―東部被災地をフィールドとして―」プロジェクト(平成16年度科学研究費補助金 基盤研究)の研究活動の一環として作成され、同プロジェクトにより運営されています。従来の研究成果の公表のみならず、本プロジェクトが目指す、実践型調査研究(学生主導による地域調査プロジェクトや、地域と連携した地域情報の編集・発信など)を行う実証実験サイトです。
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プロジェクトの趣旨と目的(研究計画書より抜粋)

 本研究(「新しいコミュニティの構想」プロジェクト)の目的は、阪神淡路大震災から10年後の被災地の現状を調査し、コミュニティの可能性を問うことにある。10年前のあの震災は、近未来の社会学的諸問題が象徴的に提起された出来事であり、新しいコミュニティの構想を促すものであった。当時の避難生活では、家族による福祉が急速な高齢化の進行によって十分に機能せず、他方でボランティアなど地域をこえた共助の連帯が模索されつつあることを知った。あるいは、行政主導のリスク管理やマスメディアによる情報提供の限界が明らかになる一方で、ミニコミやインターネットなど個別のニーズと双方向性を満たすコミュニケーションの重要性が認識された。いいかえれば、地縁と血縁中心のコミュニティと、行政と市場ベースの一方的な住民サービスの転換が求められ、異質な主体が出会い、新たな価値を生み出す場としてのコミュニティや、時空間をこえた互酬性に生きる意味を見出すようなコミュニケーションへの志向が高まった。地方分権が唱えられる一方で地方の疲弊が指摘される今ほど、新しいコミュニティの構想が求められる時はないだろう。
 しかしまた、それは理念的・規範的なコミュニティ論ではなく、実際のコミュニティの現場における実践と経験の中から生み出されるものだろう。本研究で、神戸市東部から西宮市にかけての当時の東部被災地をフィールドとして選ぶ理由は、全国的に見ても長い歴史的背景とともに外国人も含む非常に活発な都市コミュニティを形成してきた地域であり、短期的にも震災からの復興とまちづくりを経ており、コミュニティの変動を調査し未来像を予測するのに最適の地域だからである。さらに研究拠点となる甲南大学はその中央に位置し、地域とも密接な関係をもち、効果的で効率的な調査を実施できることが期待できる。また、大学自体が大きな被害を受けたこともあり、10年後の今こそ当事者の立場から学術調査を行う価値があると考えられる。
 もとより、社会学では多くのコミュニティ研究が蓄積されてきた。しかし、現在の地域社会における社会関係は、地域から発しつつもその枠組を大きく超え、様々なテーマやイッシュー(すなわち下位文化)別に広がり、あるいは生活の局面をキッカケに生まれる意味や価値の重層としてのコミュニティへと変貌しつつあるのではないだろうか。それは概念上「ネットワーク」と呼ばれることもあるが、その内実はなお未解明な部分を残している。地域という全体性やその中の諸集団を柱とするコミュニティと対比させながら、その関係性のより深い分析を通じて、新しいコミュニティを構想していきたい。
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スケジュール

2004年度
 初年度の研究については、特に役割分担を行わず、申請者が共同で計画の実施にあたる。
  1. 文献研究(海外文献、及び国内文献)
     新旧のコミュニティ研究の文献を広く収集し、「コミュニティ/ネットワーク文献コレクション」を甲南大学文学部社会学科に設置する。また、大学院生及び学部学生の参加も得て、それらの文献の購読・研究会を開く。本研究は実証的な調査を主眼とするが、最終的な研究成果の一部に理論的・政策提案的な論文の発表を含めることを視野に入れている。
  2. 資料およびデータの収集
     調査対象地域の資料やデータを収集するための環境整備を行う。この中には、震災後のまちの景観や環境の変化を記録し、あるいは記録されたもの(画像・音声・動画、及びWebページなど)を含む。次項の学生プロジェクトとも連動する。
  3. 実践型調査の体制づくりと予備調査の実施
     初年度は、次年度以降の調査の準備、コミュニティとの関係構築をかねて、次のプロジェクトを重点的に行う。また、調査実施の補助、文献・資料・データの整理と管理、Webページの更新などの運営補助などを担う事務局を設置する。
    • テーマコミュニティの予備調査:フリーマーケット、趣味のサークル、外国人定住者を中心とするグループなどのテーマコミュニティに着目し、その事例を調査する。
    • コミュニティセンターの構想:学生有志を中心に、地域参加、ボランティア活動などを行う人が集まり、情報交換をおこなうためのコミュニティセンター設置を検討する。
    • コミュニティ・ホームページ:実践的、双方向的な新しいコミュニティ研究のあり方を追及し、事務局にWebサイト(コミュニティ・ホームページ)を開設する。
2005年度
  • 文献研究(海外文献、及び国内文献)
    コミュニティ/ネットワーク文献コレクションの拡充
  • ネットワーク調査の実施
    当該地域を対象としたネットワーク調査の企画実施
  • 地域連携プロジェクト
    • 学生調査プロジェクトの実施
    • 地域連携による情報編集・発信(aと連動して実施予定)
    • コミュニティセンターの設置(aと連動して実施予定)
2006年度
  • 文献研究(海外文献、及び国内文献)
    コミュニティ/ネットワーク文献コレクションの拡充、文献研究
  • ネットワーク調査の分析
    昨年度実施のネットワーク調査の分析、中間報告書の作成
  • 地域の市民団体・NPO調査
    当該地域における市民活動・NPOなどの団体調査の企画実施
  • 主として若年層を対象としたコミュニティ調査の実験・実施
2007年度

研究メンバー

2004年度
  • 鵜飼孝造(政治社会学、甲南大学文学部教授)
  • 宮垣 元(経済社会学、甲南大学文学部助教授)
  • 平松 闊(数理社会学、甲南大学文学部教授)
2005年度
  • 鵜飼孝造(政治社会学、同志社大学社会学部教授)
  • 宮垣 元(経済社会学、甲南大学文学部助教授)
  • 平松 闊(数理社会学、甲南大学文学部教授)
  • 星 敦士(社会学、甲南大学文学部講師)
2006年度
  • 鵜飼孝造(政治社会学、同志社大学社会学部教授)
  • 宮垣 元(経済社会学、甲南大学文学部助教授)
  • 平松 闊(数理社会学、甲南大学文学部教授)
  • 星 敦士(社会学、甲南大学文学部講師)
2007年度
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